光を勉強するブログ

光と流体に関して。

Beer Lambert則の歴史と導出

  近赤外分光法における重要な式、Beer Lambert則について書こうと思います。

歴史

  Lambert Beer則は名前の通り、Beerという人とLambertという人の功績からなっています。簡単に書くと、Lambertという人が、光強度が光源からの距離に対して指数関数的に減少することを発見し、Beerという人が媒質の濃度についても指数関数的に減少することを発見しました。これをまとめて、光が距離と濃度に指数関数的に減衰するという法則が定式化されました。
 また、Bougerという人がLambert以前に距離から指数関数的に減衰することを実験から示唆していたことからBouger Lambert Beer則とも呼ばれます。

 このことをまとめると、、、

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このようになります。始まりは3世紀も前なんですね。

ちなみにこのBougerは天文学に知見を持った方だったそうです。

 

導出

   ある媒体に光強度 I(\boldsymbol{r}, \boldsymbol{s}, t)で照射された光は、微小距離進む中で媒質による吸収の影響を受け、dIだけ変化します。
 また、I_{吸収}\Delta lの関係は以下のような式で記述されることが知られています。

\begin{align}
\displaystyle \Delta I_{吸収}=-\mu_a I \Delta l \tag{1}
\end{align}

 これは、吸収による光強度の変化量が変化前の光強度に比例し、その比例定数が吸収係数\mu_a[mm^{-1}]であることを示しています。そして符号が負なのは吸収によって光強度が減少していることを示しています。
 また、ここでΔを無視できるくらいの微小量とすることで、(1)式は

\begin{align}
\displaystyle dI &= -\mu_a I dl \tag{2} \\ \\
\displaystyle \frac{dI}{dl} &= -\mu_a I \tag{3}
\end{align}

となります。

 (3)式のようにすることで簡単な微分方程式となりますのでこれを解いていきます。
\begin{align}
\displaystyle \frac{1}{I}dI &= -\mu_a dl \\ \\
\displaystyle \int \frac{1}{I}dI &= -\mu_a \int dl \\ \\
\displaystyle logI+C_1 &= -\mu_a l + C_2 \\ \\
\displaystyle I &= \exp(-\mu_a l+C_3) \\ \\
\displaystyle I &= C_4 \exp(-\mu_a l) \\ \\
\end{align}
  これで一般解が求まりました。ここでC_1,C_2,C_3,C_4は0以外の実数です。
次にl=0においてI = I_0という境界条件のもと特殊解を求めます。
\begin{align}
\displaystyle I_0 &= C \exp(-\mu_a \times 0) \\ \\
\displaystyle C &= I_0 \\ \\
\end{align}
よって特殊解は
\begin{align}
\displaystyle I &= I_0 \exp(-\mu_a l) \tag{4}
\end{align}
となります。
  ここで吸収係数\mu_a = \varepsilon Cという関係を用います。ここで\varepsilonはモル吸光係数という物質固有の値で、Cは媒質の濃度になります。すると(4)式は
\begin{align}
\displaystyle I &= I_0 \exp(-\varepsilon C l) \tag{5}
\end{align}
となり、光強度が光源からの距離と媒質の濃度に対して指数関数的に減衰するという式が導出されました。これがLambert Beer則になります。

 図にすると以下のようなイメージです。   

            f:id:Iwalabo:20180831123457p:plain