光を勉強するブログ

光と流体に関して。

光拡散方程式の導出-(1)

 光拡散方程式は拡散光トモグラフィに用いられる重要な式であり、高散乱体内を一定距離進んだ位置において輸送方程式から近似的に導出されます。この近似を光拡散近似と呼ぶこともあるそうです。
 今回の記事から数回にかけて輸送方程式から光拡散方程式を導いてみようと思います。今回は目指すべきゴールの紹介と近似にあたって必要な準備を行います。

目標と方針

 目標は当然、光拡散方程式の導出です。そして導出を行う中での方針として、なるべく丁寧に式変形を追っていけたらと考えています。これは自分の理解を深め、今後より詳細な議論へ発展することができたらという思いがあることと、式変形を飛ばした導出はネット上にいくらでも転がっている、、、と思ったためです。

 では初めにスタート地点とゴール地点を紹介します。これは、あれこれ式変形して最後こうなりました!というものより、最後こうしたいからあれこれ変形していくよ!という方が自分好みだからです。

 前置きが長くなりましたが、ではまずスタート地点である輸送方程式を以下に示します。
\begin{align}
\displaystyle\frac{1}{c} \frac{\partial}{\partial t} I(\boldsymbol{r}, \boldsymbol{s}, t)+ \boldsymbol{s} \cdot \nabla I(\boldsymbol{r},\boldsymbol{s}, t)+(\mu_a +\mu_s)I(\boldsymbol{r}, \boldsymbol{s}, t) =\mu_s \int_{\boldsymbol{s}^2} p(\boldsymbol{s}',\boldsymbol{s})I(\boldsymbol{r},\boldsymbol{s'},t)d\boldsymbol{s'}\tag{1}
\end{align}

 この式の説明と導出は以前の記事を拝見していただけたらと思います。

 

iwalabo.hatenablog.com

 

 そして次にゴール地点です。(1)式をあれこれ変形して以下の式に近似していきたいと思います。
\begin{align}
\displaystyle \frac{1}{c} \frac{\partial}{\partial t}\Phi(\boldsymbol{r},t)=\nabla(D\nabla\Phi(\boldsymbol{r},t))-\mu_a\Phi(\boldsymbol{r},t) \tag{2}
\end{align}

 この式の詳細な説明はおいおい行いますが、ここで重要なことは光強度I(\boldsymbol{r}, \boldsymbol{s}, t)という位置、方向、時間の6つの変数を持った関数が、方向成分を失い\Phi(\boldsymbol{r}, t)という4の変数を持った関数になっているという点です。この関数は積分強度と呼ばれ、この関数を用いて近似を行っていきます。
 変数が2つも減っているので(1)式に比べてなんか解きやすそうですよね。